おはようございます。
神谷です。
百田尚樹氏は『永遠の0』を読んでからファンになりました。
百田尚樹氏のどの著書も非常に良いテンポで読ませてくれます。
だから、読み始めるとなかなか手放せなくて、一気に最後まで読んでしまいますね。
ですから、最近はちょいと忙しいので、百田尚樹氏の本には手を出さないようにしていたのですが、嫁さんが、この『プリズム』を手に入れてしまいまして、ついつい手を出してしまいました。
この記事では、細かい内容は書かないつもりですが、基本的にネタバレなので、記事を読むのはご注意を。
Contents
多重人格の話です
百田氏は同じようなジャンルの小説はありませんよね。
次々に異なるテーマに挑戦しています。
『永遠の0』では、「特攻」
『モンスター』では、「整形美容」
『輝く夜』では、「純愛」
『幸福な生活』では、「文章トリック」
などなど。
『プリズム』では、「多重人格」です。
正確には、「解離性同一性障害」というらしいです。
精神科の病気でも非常に珍しいとのこと。
そして、百田作品らしく、とてもこの病気がよくわかるように記述されています。
この病気、「親の虐待」が引き起こすとのことです。
親は、子どもを庇護する存在。
その親に虐待されると子供は逃げ道が無くなります。
しかし逃げないと、精神が崩壊する。
そのために、本当の人格は逃げてしまい、虐待を受けるための人格を作り出すというのです。
そして、本当の人格は虐待を受けた記憶さえも持ちません。
しかし、虐待を受けた人格は、身代わりにした本当の人格を憎むこともあるとのこと。
なんとなく、理解できてしまいそうなことです。
しかし、自分自身の中から逃げる状態まで親に追い込まれるというのは、恐ろしくも悲しいことです。
その虐待の記述を引用します。
すごい記述なので、不快に思われる方は読み飛ばしてください。
多重人格の治療を受ける岩本広志の中の純也の告白です。
純也は広志が父親と兄からの暴力から逃れるために作り出した人格です。
幼い頃の記憶は、泣いていたことしかない。
それも、しくしくなんてもんじゃないよ。
悲鳴を上げていたんだ。
木刀で毎日殴られた。
永久歯が生える前に乳歯はほとんど折れていたよ。
腕の骨も肋骨も何本も折れていた。
鼓膜なんかいつも破れていて、たいていどっちかの耳が聞こえなかった。
裸にされて革の鞭で打たれたこともあるし、タバコの火やライターの火を押し付けられるのもしょっちゅうだった。
四歳くらいの時、庭に子猫が迷い込んできた。こっそりエサを上げて飼っていたんだ。
三毛のすごくかわいい子猫だった。
ある日、父に見つかった。
父は猫の後ろ足をつかむと、地面の石に頭を叩きつけた。
でも、猫はまだ息があった。
父は、猫をシャベルで殴って殺した。
と凄まじいい記述が所々に出てきます。
ヒロインと多重人格の一人の恋
そして、多重人格の中の一人、卓也に主人公の聡子は恋をしてしまいます。
そして、純也も岩本広志も聡子に恋をしてしまい。
一人の人間の中で恋愛の対立が始まるという、何とも言えない話なんです。
結局、卓也は本当の人格の広志のために人格を統合することを決意。
それと共に、他の人格も、広志に統合され、広志は一個の人間として立ち直っていきます。
そして、本当の人格の岩本広志は聡子に恋をしているので、聡子に告白しますが、聡子は、同じ姿をしていても卓也ではない人間を愛することができなかったという結末です。
実は、聡子は結婚していて、卓也と不倫関係になって、その結果離婚(夫の浮気もあったのですが)というおまけつきです。
まさに、多重人格に、どろどろの恋愛ドラマという小説です。
個人的には、もっと衝撃的な結末を期待していたのですが。
しかし、2時間くらいで一気に読んでしまうような引き込まれる魅力はありました。
Amazonの感想にあったのですが、百田氏の小説は女性が主人公だといまいちと多くの方が感じるようです。
そう言われてみるとそうだなぁ・・・。
『永遠の0』なんて、読んでいて涙が出るような本だったし。
今度は、『海賊とよばれた男』に挑戦することにします。
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